遷延性意識障害の「生活費控除」と「平均余命」の問題とは?

交通事故で「遷延性意識障害」となってしまうことがあります。いわゆる「植物状態」のことですが、遷延性意識障害になると、被害者の逸失利益や将来介護費用の請求の際に、いろいろな問題が発生することがあります。

今回は、遷延性意識障害で保険会社が主張することの多い「生活費控除」と「平均余命」の問題について、福岡の弁護士が解説します。

 

1.後遺障害逸失利益と生活費控除

交通事故が原因で遷延性意識障害(植物状態)になると、被害者は意識が混濁した状態が続きますから、自分では何もできません。また、回復可能性も、残念ながら今の医学では小さいです。そこで、遷延性意識障害となると、後遺障害は1級が認められます。

 

後遺障害1級が認められると、労働能力喪失率100%として、後遺障害逸失利益を請求することができます。後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことで働けなくなったために得られなくなった、将来の収入のことです。

 

ところが、遷延性意識傷害のケースで被害者が加害者に後遺障害逸失利益を請求すると、相手の保険会社から「生活費控除」を主張されることが多いです。生活費控除とは、被害者の生活費がかからなくなった分、逸失利益を減額するという考え方です。

 

一般的には、死亡事故のケースで生活費控除を行います。被害者が死亡すると、被害者の生活費がかからなくなるからです。遷延性意識障害の場合にも、普通の人より生活費がかからないから生活費控除をするように主張するのです。

しかし、遷延性意識障害の場合であっても被害者は生きているわけですから生活費はかかります。裁判例でも、遷延性意識障害のケースで生活費控除を否定するものがありますので、保険会社がこのような主張をしてきても、鵜呑みにすべきではありません。

 

2.将来介護費用と平均余命

遷延性意識障害になると、基本的に一生常時の介護が必要な状態となります。

そこで、加害者に対し、将来介護費用を請求することができます。

将来介護費用は、基本的に「症状固定時の平均余命」の分が認められることが通例です。そのくらいは生きるだろうという目算があるためです。

しかし、遷延性意識障害の場合、加害者の保険会社は、「遷延性意識障害の場合、健康な人よりも寿命が短いので、平均余命を短くすべきだ」と主張してくることが多いです。

実際に、統計データによって、遷延性意識障害の患者の生存率が低いことを持ち出してくるので、被害者の家族も「仕方が無いのかな」、と思ってしまいがちです。

しかし、今後の医学の発展により、遷延性意識障害の患者の平均余命が延びる可能性も大いにありますし、現在の状態でも、遷延性意識障害の患者で健康な人と同じように長生きしている方もおられます。

そこで、裁判所は、基本的に遷延性意識障害の患者の平均余命を短くする考えはとっていません。

保険会社が、遷延性意識障害のケースで平均余命を短くして将来介護費用を計算してきても、受け入れるべきではありません。

 

遷延性意識障害になった場合、保険会社からはいろいろな主張をされるので、対応に迷われることがあるでしょう。疑問や不満がある場合には、福岡の弁護士までご相談下さい。

 

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